
※この記事は2026年9月時点の制度・税制情報を基に作成しています。
2026年1月から、iDeCoの一時金と会社の退職金に関係するルールが変更されました。
一般に「iDeCoの10年ルール」と呼ばれており、以前の5年ルールよりも受取時期の調整が難しくなっています。
ただし、すべてのiDeCo加入者が増税になるわけではありません。
⏱ 30秒で分かる結論
- 2026年から「前年以前4年内」が「前年以前9年内」に延長
- iDeCo一時金を先に受け取る場合は、会社の退職金まで暦年で10年空ける必要がある
- 10年以内でも、期間が重ならなければ影響しない場合がある
- 会社の退職金を先に受け取る場合は「前年以前19年内」の別ルール
- 受取順を逆にするだけでは解決しないことがある
iDeCo改正全体については、先にこちらをご覧ください。
iDeCoの10年ルールとは?
iDeCoの老齢給付金を一時金で受け取ると、税金の計算上は「退職所得」として扱われます。
会社から受け取る退職金も、基本的には同じ退職所得です。
どちらにも退職所得控除がありますが、iDeCoの加入期間と会社の勤続期間が重なっている場合、同じ期間に対する控除を二重に利用できないことがあります。
2025年までと2026年以降の違い
| iDeCoを先に受け取る場合 | 対象期間 | 必要な間隔 |
|---|---|---|
| 2025年まで | 前年以前4年内 | 暦年で5年 |
| 2026年以降 | 前年以前9年内 | 暦年で10年 |
改正は、2026年1月1日以後にiDeCoなどの老齢一時金を受け取った場合に適用されます。
具体例|2026年にiDeCoを受け取った場合
📅 iDeCo一時金を2026年に受け取るケース
2026年 iDeCo
→
2035年まで 会社の退職金
2035年に会社の退職金を受け取る場合、2026年は「前年以前9年内」に含まれるため、加入期間と勤続期間の重複調整を受ける可能性があります。
2026年 iDeCo
→
2036年以降 会社の退職金
2036年に受け取れば2026年は「前年以前9年内」から外れるため、10年ルールによる重複調整の対象外になります。
| iDeCo一時金 | 会社の退職金 | 判定 |
|---|---|---|
| 2026年 | 2030年 | 対象になる可能性 |
| 2026年 | 2035年 | 対象になる可能性 |
| 2026年 | 2036年 | 9年内から外れる |
※単純に受取日の間隔を数えるのではなく、「何年に受け取ったか」で考えると分かりやすくなります。
会社の退職金を先に受け取れば解決する?
「会社の退職金を先に受け取り、その後にiDeCoを受け取ればよい」と考える人もいます。
しかし、iDeCo一時金を後から受け取る場合は、前年以前19年内に受け取った退職金との重複が確認されます。
⚠ 受取順を逆にしても安心とは限らない
2026年に会社の退職金を受け取り、2045年にiDeCo一時金を受け取る場合、会社の退職金は「前年以前19年内」に含まれます。
完全に期間を外すには、原則として2046年以降に受け取る必要があります。ただし、iDeCoは原則75歳までに受給を請求する必要があるため、年齢によっては現実的ではありません。
このルールは「19年ルール」「20年空けるルール」などと呼ばれます。
| 受取順 | 確認される期間 | 期間を外す目安 |
|---|---|---|
| iDeCo一時金→会社の退職金 | 前年以前9年内 | 暦年で10年後 |
| 会社の退職金→iDeCo一時金 | 前年以前19年内 | 暦年で20年後 |
10年以内なら必ず増税になる?
10年以内に受け取るだけで、必ず税金が増えるわけではありません。
実際の計算では、次の点が影響します。
- iDeCo一時金の金額
- 会社の退職金の金額
- iDeCoの加入期間
- 会社の勤続期間
- 両方の期間がどれだけ重複しているか
- 先に受け取った金額が退職所得控除額より少ないか
先に受け取った一時金が、そのときの退職所得控除額より少ない場合は、金額に応じて重複期間を短く計算する特例があります。
そのため、「期間が重なったら控除がすべてなくなる」という説明は正確ではありません。
退職所得控除はいくら?
| 勤続年数・加入年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円×年数 最低80万円 |
| 20年超 | 800万円+70万円×(年数-20年) |
一般的な退職所得の課税対象額は、次の式で計算します。
(一時金-退職所得控除額)×1/2
重複調整によって退職所得控除額が小さくなると、課税対象額が増える可能性があります。
10年ルールの影響を受けやすい人
影響を受けやすい
- 60歳でiDeCoを一時金受取
- 65歳前後で会社を退職
- 退職金制度がある会社に長く勤務
- iDeCo残高と退職金が多い
影響が小さい可能性
- 勤務先に退職金制度がない
- 加入期間と勤続期間が重ならない
- 一時金が控除額内に収まる
- iDeCoを年金形式で受け取る
今からできる対策
① 会社の退職金を確認する
勤務先の就業規則や退職金規程で、次の項目を確認しましょう。
- 退職金制度の有無
- 受取予定年齢
- おおよその受取額
- 勤続期間として計算される期間
- 企業型DC・確定給付企業年金の有無
② iDeCoの加入期間と残高を確認する
金融機関や記録関連運営管理機関から届く通知、Webサイトなどで確認できます。
③ 4つの受取方法を比較する
- iDeCoを先に一時金で受け取る
- 会社の退職金を先に受け取る
- iDeCoを年金で受け取る
- 一時金と年金を組み合わせる
iDeCoは原則60歳から75歳までの間で受給開始時期を選べます。また、金融機関によっては一時金と年金の併用も可能です。
ただし、年金形式では公的年金等控除が適用される一方、受給のたびに手数料がかかる場合があります。
よくある質問
Q.60歳でiDeCo、65歳で退職金を受け取ると対象ですか?
A.対象になる可能性があります。iDeCoを2026年以降に一時金で受け取り、5年後に会社の退職金を受け取る場合は前年以前9年内に該当します。さらに加入期間と勤続期間の重なりを確認します。
Q.10年間、iDeCoを引き出せない制度ですか?
A.違います。10年ルールは受給開始年齢や資金のロック期間ではなく、退職所得控除の重複調整に関するルールです。
Q.10年以内なら退職所得控除がゼロになりますか?
A.必ずゼロになるわけではありません。重複期間、加入年数、勤続年数、先に受け取った金額などによって変わります。
Q.受取時期を遅らせれば必ず得ですか?
A.一概にはいえません。運用を続ける期間、価格変動、手数料、ほかの年金収入、今後の税制改正も含めて比較する必要があります。
まとめ
- 2026年からiDeCoの5年ルールが10年ルールに変更
- iDeCoを先に受け取る場合は前年以前9年内を確認
- 会社の退職金を先に受け取る場合は前年以前19年内を確認
- 受取順を逆にするだけでは解決しないことがある
- 10年以内でも必ず増税になるわけではない
- 受取手続き前に一時金・年金・併用を比較する
まずは、会社の退職予定年・退職金額・iDeCoの加入期間と残高を確認しましょう。
受取額が大きい場合や複数の退職金がある場合は、受け取る前に税理士や税務署へ確認すると安心です。
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参考にした公的資料
※本記事は一般的な制度説明です。個別の税額は、受取額、勤続期間、加入期間、ほかの退職所得などによって異なります。